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町長コラム「郷里に響け」

令和8年10月 「気候危機と農業の未来」
町長コラム「町長室から 郷里に響け」令和8年10月

 これでもかと言わんばかりに、日本列島は度重なる大雨に襲われている。家屋の浸水や車の水没、水田の冠水といった甚大な災害が頻発しており、令和元年東日本台風災害を経験した身として、被災された方々を思うと胸が締め付けられる。
 
 世界各地でも「気候危機」が現実のものとなっている。ネパール・中国の国境で起きた悲惨な土石流災害、ヨーロッパの干ばつなど、もはや世界中で災害と隣り合わせの状況である。現代社会の快適な生活を求めたが故の影響なのかと、深く考えさせられる。改めて地球温暖化のことをじっくりと考え、「今、自分たちは何をすべきか、何ができるか」を行動に移す時なのではないだろうか。
 
 かつて台風は秋に多かった。毎年のように一時的な心配や心構えを強いる存在ではあったが、これほど各地で長期間にわたり災害がもたらされることはなかったように思う。台風一過という言葉どおり、過ぎ去った後には秋の澄み切った青空が広がった。時に稲の倒伏などもあるが、秋上げの収量に一喜一憂しながらその年の作業が進んでいったものである。
 
 食を支えている農業の現場も、かつてないほど厳しい局面を迎え、昔とは大きく変化している。以前は価格がある程度保障され、農家の収入も安定していた。しかし今は需要と供給のバランスにより価格が激しく変動し、世界的な紛争に起因する生産資材等の高騰も重なり、将来を見通すのは難しい。それでも農家は、予測不能の気象や不安定な価格変動に見舞われながら、汗水流して良い作物を育て消費者に届けている。他業種との賃金格差や生産性といった厳しい課題に直面しながらも、食料の安定供給という「命を繋ぐ責任」、そして環境保全という「地球への貢献」、これを担う責任と自負が、農家の背中を押し続けているのだと思う。
 
 どんな状況でも安全で安心な農作物を作れる環境を守り、農業の未来を次世代につないでいくため、私たち一人ひとりが環境と農業への理解をもっと深めていくべきだと思う。

大張沢尻棚田(日本の棚田百選・つなぐ棚田遺産認定) 2026年9月30日(水)撮影
大張沢尻棚田(日本の棚田百選・つなぐ棚田遺産認定) 2026年9月30日(水)撮影
色づき始めた稲穂(筆甫地区の水田) 2026年9月25日(金)撮影
色づき始めた稲穂(筆甫地区の水田) 2026年9月25日(金)撮影