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町長コラム「郷里に響け」

令和6年5月 「日本の食卓をどう守るか」
町長コラム「町長室から 郷里に響け」令和6年5月

 田んぼに水が張られ、農家の皆様が活気みなぎる時期となった。米作りは一年に一度の作業であり、人の一生の中で挑戦できる回数は多い人でも60回程度だろう。その中でも災害等により思いどおりにいかず、悔しさを覚える年もある。それ故に秋の豊作を思い、額に汗をかきながら作業を進めていく。

 しかし、そんな農家の思いとは裏腹に、逆境に立たされている農家は少なくない。食文化の多様化や外食の進展により、家庭内で消費される米の量は減少しているうえ、米一俵あたりの価格も大きく低下した。そしてその価格でも成り立つよう、作業の省力化・大規模経営へと変化していき、兼業農家や集落営農へと農家の姿も多様化していった。その中でも集落営農は地域の農業を守る重要な役割を担っている。

 集落営農を大きな家族と考え、地域全体で営農を進めることにより、限りある資源を余すことなく活用し、多くの人々を経済的に支える基盤、そして地域の繋がりをより強くすることにもなる。近年は物価高騰対策や食糧自給率の向上が叫ばれているが、農業に求められているのは一体何だろうか。それは誰もがこの世に生まれ、育ち、老いてゆく中で口にする食料を生産していること。そしてそこには安全・安心に配慮した美味しい食べ物を消費者に届ける責任を感じながら生産に励んでいることなのだろうと思っている。

 我が家でも野菜を栽培しているが、子や孫から「美味しい」と言われることが何よりも励みになる。消費者の目線に立ち、消費者と共に農業の未来を考えることが、農業経営の安定と、地域農業の持続的発展につながるのではないだろうかと思うこの頃である。

農事組合法人 美ファーム羽出庭の田植え
農事組合法人 美ファーム羽出庭の田植え