町長コラム「郷里に響け」
令和7年7月 「趣味の力で地域の絆を繋ぐ」

多忙な田植え作業がひと段落し、運動会や早苗振大会、芸能まつりなど、各地区で多くの住民が楽しめる行事が開催されている。先日参加した行事では、カラオケ、民謡、舞踊、フラダンス、太極拳など、多くの趣味趣向をこらした演目があり、日頃の練習の成果を存分に披露していた。
仲間たちと発表を行う姿は、真剣な面持ちの中にもどこか嬉しそうで、発表の場があることの喜びやコミュニケーションの楽しさがあると感じた。動きや服装を揃えて皆が心をひとつにして発表するという経験は、それぞれの心の中の大きな糧として残るものではないだろうか。そして、自分のやりたいことを趣味にするのは、人生を楽しむ秘訣であり、ひいては若さを保つ秘訣なのではないかとも思えてくる。
また、個人で発表する演目も目を惹きつける力があった。聴き手に唄の情景を浮かばせる響きの民謡や、艶やかさを醸し出し、見る人を包み込むような癒しを与えてくれる舞踊もとても素晴らしかった。最後の演目まで見ることは叶わなかったが、このような発表の場はこれからもずっと続いてほしい。発表する方々はもちろん、観客も楽しんだことは間違いないが、各々が「私自身の楽しみ方は何なのか」を考える機会になったと思う。
生前の母から「寝てばかりいて、なんの趣味もない息子だな」と言われたことがあり、「あなたがそのように育てたのでしょう」と言い返したかったが、口をつぐんだことを覚えている。人口減少が続き高齢化が高くなる中で、行事に参加されていた皆さんのように、特技を活かしながらも生きることは最高の幸せだろう。
そして、オープニングで披露された保育所の子どもたちのダンスを見て感じたのは、子どもの笑顔は場も心も和ませ、周りの人を笑顔にする力があるということだ。やはり子どもは地域の宝である。若い方々が定住できる環境をしっかりとつくり、子どもたちを未来に繋いでいかなければならない。
